フロン点検記録簿の法的根拠と必要性

フロン点検記録簿の法的根拠と必要性

フロン排出抑制法の改正により、業務用の空調機器や冷凍冷蔵機器を所有する事業者には、定期的なフロン点検と記録の保管が義務付けられています。この記録簿は、地球温暖化防止の観点から重要な環境法令遵守の証となるだけでなく、機器の適切な管理状態を示す重要な書類です。企業の環境への取り組みが厳しく問われる現代において、フロン点検記録簿の適切な管理は、コンプライアンスの基本となっています。

フロン点検記録簿の法的根拠と必要性

フロン排出抑制法では、一定規模以上の業務用冷凍空調機器を所有する事業者に対して、定期点検の実施と記録の保管を義務付けています。特に、機器の圧縮機に用いられる電動機の定格出力が7.5kW以上の機器については、3ヶ月に1回以上の簡易点検と、年1回以上の専門家による定期点検が必要です。これらの点検記録は、行政による立入検査時の提示義務があり、機器廃棄まで保管することが求められています。

 

【具体例】
スーパーマーケットの冷凍ショーケース(定格出力10kW)の場合、四半期ごとの簡易点検と年1回の定期点検を実施し、その都度記録簿に記入して3年間保管する必要があります。

 

2. 記録簿の正しい記入方法と保管のポイント
フロン点検記録簿には、点検日時、点検実施者名、機器の所在、型番、定格出力、フロンの種類と充填量、点検内容と結果などを漏れなく記載する必要があります。特に重要なのは、点検時に異常が見られた場合の対応記録です。漏えい等の異常が確認された場合は、修理の実施日や内容、修理後の確認結果まで詳細に記録することが求められます。また、デジタル化による記録も認められていますが、改ざん防止措置が必要です。

 

【具体例】
オフィスビルの空調機器(定格出力15kW)の点検で異常を発見した場合、「2023年10月15日点検時、配管接続部からの漏えいを確認。同日中に専門業者による修理を実施し、漏えい箇所の補修完了。10月20日の確認点検にて漏えいなしを確認」といった具体的な記録が必要です。

 

3. よくある記入ミスと対策方法
フロン点検記録簿での記入ミスは、法令違反につながる重大な問題となります。特に多いのが、点検実施者の押印漏れや測定値の転記ミス、点検日時の記入間違いです。これらを防ぐために、ダブルチェック体制の構築が効果的です。また、フロン排出抑制法に基づく簡易点検や定期点検の際は、測定値の単位や小数点の位置にも注意が必要です。特に圧力値やガス漏えい量の記録では、Pa(パスカル)やkg(キログラム)などの単位を正確に記載することが重要です。さらに、機器の特定に必要な製造番号や型式の転記ミスも頻発するため、写真撮影による記録と照合することをお勧めします。

 

具体例:
・圧力値の単位をMPaとkPaを取り違えて記入
・測定値0.05kgを0.5kgと誤記
・点検実施者の資格者証番号の転記ミス

 

エアコンやチラーなどの業務用冷凍空調機器の管理者は、フロン排出抑制法に基づく適切な点検と記録の保持が義務付けられています。記録簿は法定書類として3年間の保存が必要で、不適切な管理は行政処分の対象となる可能性があります。そのため、記入時には細心の注意を払い、必要に応じて専門業者に相談することをお勧めします。また、デジタル化による記録管理も増えていますが、システムへの入力時も同様の注意が必要です。定期的な研修や勉強会を通じて、関係者全員が正しい記録方法を理解し、組織全体でコンプライアンス意識を高めることが重要です。

 

エアコンフロン点検